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死んでるんじゃないかと思った。夜9:30ごろ山手線に乗ったところ、身なりのちゃんとしたビジネスマンが床に横たわっている。近くのシルバーシートに座っている女性はまったく気にするでもなく、メールを打っている。じーっと目を凝らして見ていると、かすかにお腹が上下している。爆睡しているのだ。このあと、山手線は新橋、有楽町、東京、上野と通り過ぎ、満員となった。それでも爆睡男は微動だにしない。やがて電車は田端駅に止まり、「車内点検に入るからしばらく止まります」とアナウンスが流れた。駅員がやってきて何度も揺すり起こしたが、まったく目を覚ます気配がない。すると駅員は猫の首をつかみあげるように爆睡男のスーツの首をひっぱりあげたが、首をだらんと垂らしたまま眠り続けている。駅員が手を離すと、ゴツン!と音を立てて、顔から床に落ちた。顔がひしゃげた。次に体格のいい駅員が現れ、爆睡男をホームへ引きずり出した。ホームでやっと目を覚ました男はふたたび電車に乗り込もうとしたが、駅員に羽交い絞めにされていた。その間5分ほど山手線はとまったままだった。人のよさそうなビジネスマンだった。