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もう何年も前のこと、仕事でいっしょになった方が山崎豊子さんから1972年の「西山事件」の取材を受けていて、そしてそれが次の小説のための情報収集なのだと伺った。その事件のことをまったく知らなかったので、その方から詳しく教えてもらうこととなった。外務省の機密情報の扱いをめぐる新聞記者と国家権力との司法闘争&情報戦争の話で、門前仲町の居酒屋で聞くにはあまりにすごい出来事。話をしてくれた方も「これがどんな小説に仕立て上げられるのか、どこまでつっこんで書けるのか」とおっしゃっていた。自分も出版されたらぜひ読んでみようと楽しみにしていたが、あれからかなり時間が経ち、もうすっかり忘れてしまっていた。 これもまた「太陽の沈まぬ日々」で知ったのだけれど、この西山事件を取り上げた小説が、「運命の人」というタイトルで発売されていた。
山崎豊子さん独特のノンフィクション的フィクション。徹底的に事実を取材して小説スタイルで再構築されている。第四巻末に添えられた取材協力者、参考資料一覧を見るだけで、その半端ない膨大な情報収集にただただ圧倒される。新聞社を背負って立つ政治部の花形記者と国家権力の壮絶な戦いを描いた1-3巻にどっぷりひきこまれるが、小説全体からみるとそれはまだまだプロローグ。第4巻がいい。自分が歳とったせいか、失意の中で時間をかけて自分のアイデンティティを取り戻していく姿に感動してしまった。「生きていればこそ」。