□ 鯛ちらし
京都からの帰りは、JR京都伊勢丹の地下2階にある「和久傳」の鯛ちらしのお弁当を買って新幹線に乗りこんだ。ちょっと高いんだけど(2900円)、和久傳のお店でランチするのに比べれば半額ぐらいなのかな。鯛ちらしは昆布しめされた鯛の下に昆布と生姜、木の芽が散らされている。鯛ちらしの向こう側は夏野菜の炊きもの。ひとつひとつ丁寧につくられたごちそうだ。
□ かざり屋のあぶり餅 一人前
大徳寺の近くの今宮神社には、その参道を挟んで左右に「あぶり餅」という門前菓子のお店が2店ある。
あぶり餅は、お餅にきな粉をまぶして炭焼きにし、白味噌の甘だれをかけるもので、食べると病気・厄除けのご利益があるというもの。 テレビでよく紹介されていて有名だけど食べるのは初めて。炭火の強火で炙っているので香ばしく、甘い味噌だれがしっかり絡んでいる。一文字屋和助は創業1000年で平安時代から続いているのだそうだ。応仁の乱のときにも人々にこの餅がふるまわれたというとてつもなく古い物語をもっている。これから1000年経ってもここでお餅焼いているのかも。
□ お餅を先割れの串に刺してきなこをまぶす作業
□ 参道の左側がかざりや その向かいに一和
□ かざりや 創業400年
□ 一和こと一文字屋和助 創業1000年!
□ 大徳寺
□ タマゴサンド
京都のベテラン運転手さんはみなさん歴史にも詳しく、場所のことを尋ねてもその地にまつわる歴史物語で返ってくる。 「京都の街は誰が作ったのか? それは秀吉なんです。」ってな具合にツカミがうまい。聚楽第の建設の後に、大規模な都市整備計画が進められ、戦乱で曖昧になっていた京都エリアを御土井(おどい)と呼ばれる土塁(どるい)で囲み、その内側を洛中、外側を洛外と呼ぶようになったとか、今の京都市役所から御所の間に市中の寺社を強制的に集めて、「寺町通」と名付けたとか。そのときの姿が今の京都の街の骨格をなしているという。
そんな寺町通を散策。骨董や茶道具、書道具などの店に混じってちりめん山椒のお店やカフェが軒を連ねていて、ブラブラするのに楽しい。途中、「百春」というカフェに立ち寄ってタマゴサンドをつまんでみた。パンの表面に薄くトマトソースをひき、厚焼きたまごをはさんだ、最近人気のスタイル。
□ 寺町通 一保堂
□ 寺町通 村上開新堂
□ こちらは木屋町通
[百春 (ももはる)]
京都府京都市中京区常盤木町55 2F
TEL:075-708-3437
「美山荘」の朝は、若女将が運んできた甘酸っぱい梅湯で始まった。
朝食はトマトや新玉ねぎを炊いた胃に優しそうなお浸しで始まり、鯖をぬか漬けにして乳酸発酵させた「へしこ」でおいしいごはん。へしこはウマミとほどよい塩分のかたまりで、あまりに美味しくてごはんがすすむ君だ。そのあとはしろ菜と揚げの煮浸しや、茄子の揚げ浸し。朝からついつい食べ過ぎだ。
朝食のあとは隣接する峰定寺(ぶじょうじ)に立ち寄り、400段の石段を上って汗だくで本堂に参拝し、またバスに揺られて美山荘をあとにした。
□ トマトのお浸し
□ へしこ
□ 新玉葱の煮物 柚子胡椒
□ しろ菜と油揚げのたいたん
□ 茄子のオランダ煮
□ オニヤンマの産卵
「美山荘」での夕食は、大きな芋茎の葉にのせられた八寸で始まった。すごいインパクト。
全体に、この土地の素材を使い、野趣と洗練を織り交ぜたすばらしい完成度。
□ 八寸 たにし 白和え 黄身の味噌漬け いちじく おくら 冷酒は弥栄鶴
□ とうもろこしのすり流し ごま豆腐
□ 鯉のあらいをワサビ醤油で
苦手だった鯉のあらいの印象も、これを食べると一変する。
酢味噌ではなく、ワサビ醤油が添えられている。目の前の清流で育った鯉はクセがない味わいにサクッとした食感。鮎は巻き寿司、塩焼き、炊き込みご飯と姿を変えて登場。1人あたり6匹ぐらい食べたのではないだろうか。塩焼きも大中小とサイズの違う鮎が盛られ、それぞれに違った味わいを楽しめる。
炊き込みご飯も鮎の風味が立ち込める。
□ ごぼう どじょう 川海老 こんにゃく
□ 鮎寿司
□ 笹でいぶされた 鮎の塩焼き 大中小とサイズによって異なった味わい
□ 京都牛の味噌幽庵 葛の葉焼き 花山椒
□ 焼き茄子 太胡瓜 赤万願寺
□ 鮎の炊き込みご飯
□ 大葉と梅干しで
□ メロンのすり流し
満喫。
世の中オリンピックで盛り上がっている中で、携帯の電波も届かず、テレビもなく、心静かに網戸に張り付いたつがいのヤモリを眺めながら早々に眠りについた。
祇園の路地中におしゃれなギフトショップがあったので覗いてみたら、となりにカフェがあると案内されて「ZEN CAFE」に寄ってみた。外のギラギラした陽射しの下から、薄暗くて静かで涼しいカウンターに着いて水を飲むと、体全体がスーッと鎮まっていく感じ。それぞれにくず餅や冷やし汁粉、上生菓子などを口にしながら水分補給と体温調整だ。
□ 特製くずもち
[ZEN CAFE (ゼンカフェ)]
京都府京都市東山区祇園町南側570-210
TEL:075-533-8686
□ ペルシュウ(生ハム) 練ったモッツァレラチーズ
大阪から京都へ移動。夕食は平安神宮近くの「cenci (チェンチ)」へ。
ここでいいのかな? と思う扉をおそるおそる開けて、蹴上トンネルの`ねじりまんぽ'のような煉瓦のアーチをくぐって店内へ踏み込むと、満面の笑顔で迎え入れられ、階段を2-3段上がり下がりしながら奥の個室まで通された。そのアプローチがいい。元うどん屋さんの店舗を大改装したのだそうで、かなり地面を掘り下げて、立体的な配置に構成されている。
料理は、イタリアンとなっているけど、素材からインスパイアされたアートな料理だ。ここにしかない料理。すばらしい!
□ 伝助穴子 焼き茄子 無花果 松の実ソース カラスミ
□ 枝豆 オクラ チーズ キャビア
□ ニョッキ ズッキーニ ムール貝 バジル
□ 鮎のフリット ガスパチョ スイカ 茴香の実
□ 生のトウモロコシ キャベツ 七谷鴨
□ パスタ (あさかぜ胡瓜 鮎 穂紫蘇)
□ パスタ (ルッコラ 鰯 トマトソース)
□ カンノーリ (リコッタチーズ ピスタチオ)
□ ちょっとしたサプライズが隠されている マスカット デラウェア キウイ ミント
□ 桃 ルバーブ アールグレイ
□ 焼いたメレンゲを崩して
□ 通りの小窓から厨房が覗ける
[cenci (チェンチ)]
京都市左京区聖護院円頓美町44-7
TEL:075-708-5307
□ ヤキメシ
新幹線に乗る前に、駅近くの「新福菜館」に立ち寄って中華そばとヤキメシ。
どちらもこの真っ黒加減がすばらしいねぇ。チャーシューもいい。
[新福菜館 本店]
京都市下京区東塩小路向畑町569
TEL:075-371-7648
□ 中華そば(並)
□ 九条葱とおあげのたぬき丼
祇園の花見小路の一本裏の道を歩いて、お昼ご飯にフラッと立ち寄った「亀厘」で、九条葱とおあげのたぬき丼というメニューを注文。なんだか九条葱ばかり食べている気もしないでもない。おこげのごはんに、葱とおあげをのせて、いい塩梅の葛餡をひいてある。ところで、どこがたぬきだんだろう? 油揚げはキツネじゃないの?
大阪ではたぬきは油揚げののった蕎麦のことで、京都では葛でとろみをつけた、いわゆる「あんかけ」の麺をたぬきと呼ぶ...なんて記事をみつけたけど、ほんと?
□ とうもろこしの天ぷら
[亀厘 祇園店 (かめりん)]
京都市東山区祇園町南側570番地121
TEL:075-541-0715
□ ぜんざい
祇園の老舗割烹のお店の二階にある「サロン ド アンティディレッタント」で、一保堂のほうじ茶飲みながら、甘いぜんざい食べて一服。贅沢なつくりで、ゆったりと、静かなたたずまい。夜はバーになるらしい。
□ 最中
[サロン ド アンティディレッタント]
京都市東山区祇園八坂鳥居前下ル下河原町498
TEL:075-561-0330
□ ねぎうどん
うどんに入れるネギってのは薬味って役割を担っているものだけど、「祇をん 萬屋」のねぎうどんではネギが主役。薬味はすりおろした生姜。うどんというより、九条葱をおいしく食べるための料理といった方がふさわしく、これでもかってぐらいに青葱で埋め尽くされてうどんは見えない。自分でも真似して作ってみたけど、葱を2-3本刻まないとこの量にはならない。葱は最初はシャキシャキと食感と香りがよく、時間が経つと甘くなる。生姜の香りも華やかで鮮烈。ポカポカになって祇園散策へ。
□ なんと、行列! でも、回転は速い
[祇をん 萬屋 (よろづや)]
京都市東山区花見小路四条下ル二筋目西入ル小松町555-1
TEL:075-551-3409
□ 香箱蟹
今日は大阪へ日帰り出張。会議が16:00で終わったので、同僚と京都まで出て食事をして帰ることとした。例によってお店の名前は某店とさせていただくが、前回3月の訪問時から季節がめぐり、夏と秋の両方の素材が満載であった。
突き出しは香箱蟹(こうばこがに)。メスのズワイガニの甲羅に、内子とほぐした身を蟹味噌で和えて盛り付け、自家製の華やかな香りのポン酢をかけてある。外子も添えられている。
宍道湖(しんじこ)の天然鰻は、海水と真水が混ざるところに棲むものだとか。タレも独特で、うなぎ屋さんのものとはまるで違う香り。ごはんがひとくちだけ添えられている。
どの料理も、選ばれた素材と独創的な調理で驚かされっぱなし。
□ 宍道湖の鰻 蒲焼
□ 菊の花、焼きなす、白きくらげなどなどの胡桃合え
□ 六種の香野菜と鮑、海老、雲丹の白ミソ和え
□ 松茸土瓶蒸し
□ 雲丹、鮑、ハモ、渡り蟹のオムライス
このサイトは立ち上げ初期から「カノビアーノ京都」で検索され、ずいぶんと多くの方に来訪いただいた。しかしその時のエントリーには写真もなく、いつか写真を撮って再掲したいと思っていたが、今回ようやくそれが実現した。ただ、店内は相当に暗く、料理もあまり鮮明に捉えられなかった。
前回は随所に京野菜が巧みに使われ、そのクセの生かし方に感心したが、今回はやや控えめ。季節のせいか。
【カノビアーノ京都】 京都市東山区大和大路通三条下ル東側大黒町137 TEL: 075-531-9831
□ 帆立とウニのホワイトアスパラガスポタージュ
□ 蛍いかと菜の花のカッペリーニ フルーツトマトソース
□ 春キャベツ
□ ラムチョップのパイナップルソース
□ 栗のカフェラッチ(デザートは一人ひとり違う種類のものが供される)
お昼ご飯は南禅寺の「順正(じゅんせい)」で湯豆腐会席。正直あまり期待していなかった。名物にうまいものなしというので、南禅寺界隈の湯豆腐もそんなもんかと。しかし、驚くほどしっかりしたお料理だった。6000円のコースが、なぜだかインターネットで予約するとお昼は4500円に割り引かれる。きれいなお庭を見ながら、のんびりとくつろぎながら、しっかりした和食をいただく。八寸も、お造りも、焚き合わせも全て手抜きなくしっかりと作られていた。人目を気にすることなく、全品撮影に成功。
[南禅寺 順正] 京都市左京区南禅寺門前 TEL:075-761-2311
□ 先斗町の通り
夕食は先斗町(ぽんとちょう)の某料理屋さんでいただいた。古くからお世話になっているお店で、個人的に京都に来ると必ず寄ってしまうお店。ご主人は素材の産地まででかけ、獲れた直後の素材の加工の仕方も具体的に指示してあり、漁師さんや農家の方から特別にいい素材を仕入れいている。干物類の加工も塩加減、干し方など細部に至り、料理は素材が獲れた時から始まっているというわけだ。
写真は撮れなかったが、この日の「ぬた」はすごかった。小さく、深い器の中に、関鯖、平貝、牡丹蝦、生くじら、ウニ、ねぎなどなど宝箱のように盛り込まれている。また、くちこ(なまこの卵巣を干したもの)の一夜干などは世界中探してもここでしかいただけないと思う。
まったく取材を受けず、どこにも情報がないお店であるため、残念ながら詳しくはご紹介できない。
□ ふぐの白子焼き
□ 朝掘りの若筍
このお店に限らず、この季節の京都の筍は下茹でをせず、風味を残したまま調理される。普段いただく筍とはまったく別物。甘く、香り高く、特別においしい。
□ 松葉蟹を塩をせず蒸しただけのもの
甘い。
□ その蟹ミソ
□ おこぜのアラの赤だし
オコゼの薄作りもいただいたが、ふぐの薄作りよりおこぜの方が好き。そのアラを使った赤だしは、淡白な身とプルプルのゼラチンがたまらない。
□ お漬物盛り合わせ(この日は11種)
京都初日のお昼ご飯は、西洞院(にしのとういん)六条にある「近清(きんせ)」という老舗漬物屋さんのお二階のお座敷でいただいた。明和元年(1764年)近江屋清右エ門さんの創業だそうで、苗字と名前から一字づつとって「近清」。お座敷でゆっくりくつろぎながらいただくので、一日一組しか予約を取らないそうだ。品数はごらんの通りの豊かさで、とても食べきれるものではない。とてもおいしく、そして何より楽しかった。このお昼ご飯はお店の女将さんがお相手してくれ、楽しいお話をしていただいた。最後においしいコーヒーまで淹れていただいて1,500円。こんなお得な贅沢があるだろうか。
女将さんにお店の近くの東本願寺別邸の枳殻邸(きこくてい)を勧めていただいた。また息子さんである近清九代目さんからは、東山のめぐり方を教えていただいた。
[総本家近清] ランチ情報HP
京都市下京区六条通西洞院東入上若宮町94
TEL:075-351-1204
□ 一人分の主菜
□ 茄子の浅漬け、お味噌汁
□ 蓮根のきんぴら、湯葉の炊き合わせ、小茄子のからし漬け
□ 女将さん
□ 古い借用証書などからお店の歴史が伺える
□ この借用書には嘉永六年(1856年!) 家主 近江屋清右エ門 とある
せっかくだから、夕食も京都で食べるととした。先日テレビで、今最も予約がとりにくいといわれているらしい代官山のカノビアーノ(イタリアン)が京都に出店するというドキュメンタリー番組を見た。そのことを思い出し、電話をすると、なんとすんなりと予約が取れてしまった。なぜドキュメンタリーに取り上げられていたかというと、この店が京野菜に徹底的にこだわって作られており、にんにくも唐辛子も使わない、オリジナルなメニューを提供しているからだ。京野菜も京都・鷹峯で400年14代にわたって野菜を作りつづけてきた農家の樋口さんという方のものにこだわっているという。ひさしぶりに、重苦しいウンチクにとりつかれてしまった。
で、お味の方はというと、これはかなりおいしい。「京都のイタリアン」といわれて思い浮かべる味イメージそのものかもしれない。お昼に食べた「湯葉のにぎり」とはわけが違う。
生のエンドウ、生のオクラ、生の京にんじんの葉、生の菊の葉などなど、いずれも甘く、香り高い素材であった。苦い野菜も「苦い」という味を楽しめるようになっている。
野菜以外も、こんがりとソテーした鱈の白子をのせたリゾットや、最後のデザートもオリジナリティが高く、堪能できる。最初から最後まで、料理の話で盛り上がることができた。
野菜が嫌いじゃない人にはかなりお勧めのお店だと思う。
【リストランテ カノビアーノ京都】
〒605-0008 京都市東山区大和大路通三条下ル東側大黒町137番
TEL: 075-531-9831
ランチタイム 11:00-
オーダーストップ 14:00
ディナータイム 17:30-
オーダーストップ 21:30
バー 17:30-23:00
ふたたび、京都出張。前回は余裕のお昼ご飯にありつけたが、今回は京都駅到着から会議までの時間が40分しかなく、駅ビルの回転寿司となった。京都は今紅葉狩りの観光シーズンらしく、駅は爺さん婆さんでごった返しており、食堂もトイレも長蛇の列となっていた。回転寿司だけ、並ばずに入れたので、8人で回転寿司に入店。15分で食事を終えた。京都ならでは?の湯葉のにぎりがあったので、食べたくなかったけれど、この気まぐれ日記のネタとしていただくことにした。食べなければよかった。